読みやすい日本語の文章とは?プロのライターが書き方のコツを伝授

日本語教師兼Webライターが、読みやすい文章を書くためのコツを3つお伝えします。

  1. ひらがな、カタカナ、漢字を使い分けよう!
  2. 句読点「。」「、」の基本的なルールを学ぼう!
  3. 日本語はSOV型。「一文一義の原則」を知ろう!

こんにちは。私は日本語教師になる前は、ライティングの仕事をしていました。文章を書くのが得意だったわけでもなく、ご縁があって始めたので「日本語ってむずかしーい!似ている言葉が多すぎる!」といつも嘆きながら奮闘していました。ただ、日本語の魅力やおもしろさ、奥深さはライティングの仕事を通して知ったので今に至るわけですが…。

前置きが長くなってしまいましたが、今回はそんな私が個人的に読みやすいと思う文章のポイントを3つに絞って紹介します。句読点「。」「、」の基本的なルールや私が文章を書く時に心がけている点もお伝えします。

 

読みやすい文章とは?

仕事柄、多くの文章を読んだり書いたりしていますが、「読みやすさ」というのは読者の主観も入ってくるので、一概に「これが読みやすい文章だ!」とは言えないと思います。正解はありません。ただ、このポイントを押さえておけば読みやすくなるというのはあるので、今回は以下の3つをご紹介します。

  1. ひらがな、カタカナ、漢字のバランスがいい。
  2. 適切なところに「、」が入っている文がいい。
  3. 一文は長すぎず、情報が多すぎないほうがいい。

それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

 

ひらがな、カタカナ、漢字を使い分けよう!

ひらがなだけの文と漢字とカタカナが入った文、どちらが読みやすいでしょうか。

・わたしはきょうにほんごがっこうでかんじのてすとをうけました。
・私は今日日本語学校で漢字のテストを受けました。

ひらがなだけだと、どこで区切ればいいのかわかりにくいですよね。ひらがな一文字一文字、意味を考えながら読まないといけないので時間もかかります。漢字やカタカナが入っていると意味を推測しやすいです。では、次の文はどうでしょう。

・たいせつなきかいをうしなった。
・そのきしゃはらいげついどうする。
・あしたはいしゃにいく。

お気づきでしょうか。この文は2つの可能性が考えられます。
「大切な機会を失った」「大切な機械を失った」
「その記者は来月異動する」「その汽車は来月移動する」
「明日は医者に行く」「明日歯医者に行く」

ひらがなだけだとどちらの意味か判断しかねますが、漢字で書かれたら一目瞭然ですね。日本語は、音の数が少ないため、同音異義語が多い言語といわれています。日本語の母音の数は5個だけ。子音の数は13個です。英語や中国語はもっと多いです。

※「同じ文字なのに意味が違っておもしろい!」と思った日本語好きな方は、「紛らわしい同音異義語」「ぎなた読み」で検索してみてください。たくさんありますよ。

音が同じで意味が異なる言葉が多く存在する言語ですから、ひらがなだけの文はできれば避けたい。誤解を生む可能性がありますからね。とはいえ、漢字ばかりの文やカタカナが多い文もちょっと…。以下の文を見てください。

・喫茶店で焼魚定食と烏龍茶を注文して食後に苺大福を食べた。
・スーパーのタイムセールでスイカやキウイなどフルーツをたくさん買った。

私がライターの時、基本はひらがな7割、漢字3割。カタカナは入れすぎず、文全体のバランスを見て意図的に入れるほうがいいと教わりました。

最後におまけ。早口言葉を紹介します。これは極端な例ですが、

・にわにはにわにわとりがいる。

ひらがな、カタカナ、漢字のバランスを考えると、私だったらこう書きます。

・庭には2羽ニワトリがいる。

これも「二」より「2」の方が一目で分かりやすく、「鶏」の漢字は難しいので「ニワトリ」と書いた方が読みやすいからです。もちろん、正解はないので「二羽にわとりがいる」「二羽鶏がいる」と書いてもいいです。

 

句読点「。」「、」の基本的なルールを学ぼう!

「。」は文が終わった時に打ちます。「、」は文の途中で意味をわかりやすくするために打ちます。

「、」:読点(とうてん)・読み方「てん」
「。」:句点(くてん)・読み方「まる」
「、」「。」:句読点(くとうてん)・読み方「くとうてん」

以下は、読点「、」を打つ時の基本的なルールです。

 

1)  意味をはっきりさせたい時

・今日、母と父の誕生日プレゼントを買いに行く。
・今日母と、父の誕生日プレゼントを買いに行く。

・先生は、笑顔でスピーチをする学生を見ていた。
・先生は笑顔で、スピーチをする学生を見ていた。

 

2) 同じ漢字が続く時、漢字が多い時

・私は今日、日本語学校で勉強しました。
・会議終了後、至急確認致します。

 

3) 接続詞の後

・一生懸命勉強した。しかし、試験に合格しなかった。
・彼は日本で建築の技術を学んだ。そして、母国で建築家になった。

 

4) 「~とき」「~が」「~ので」「~たら」などの後

・日本へ初めて来たとき、カルチャーショックな出来事がたくさんありました。
・資料を作成したので、添付いたします。

 

5)  名詞をならべる時

・今度の休みに京都、奈良、大阪へ旅行にいく。
・カレー、ラーメン、とんかつ、どれを食べようか迷う。

 

6) 連用中止形(文中の活用語を連用形で止める形)の時

・朝6時に起き、シャワーをあび、コーヒーを飲む。
・この家は駅に近いのに家賃が安く、住むのに快適だ。

 

その他、私が書く時に、ストレスなく読んでもらうために心がけている点をお伝えします。

 

7) 紛らわしい言葉の時

・今日本に住んでいます。→ 一瞬「今日」と読める。
・今、日本に住んでいます。

 

8) 強調したいところを明確にする時

・私は、今日JLPTのテストを受ける。→「私」強調。
・私は今日、JLPTのテストを受ける。→「今日」を強調。

・田中先生は、職員室で学生を怒った。→誰が怒った?を強調。
・田中先生は職員室で、学生を怒った。→どこで怒った?を強調。

 

これらの8つのポイントを押さえて文を書くだけでも、読みやすさは変わります。ぜひ意識してみてくださいね。

 

日本語はSOV型。「一文一義の原則」を知ろう!

日本語の文は、動詞や形容詞などの述語が最後にくるSOV型なので、文を最後まで読まないと結論がわかりません。長い文章を読んでいる時、途中の情報を忘れてしまったり、結局何についての話だったかわからなくなったり…そんな経験はないですか?

私が新人ライターの時、「一文一義の原則=一つの文章に一つの情報だけ書く」を徹底的に練習させられました。一文に情報を詰め込まないこと。さらに、読点「、」はひとつが理想、多くてもふたつと教わりました。一文に「、」を入れないのが読みやすいという人もいるので、そこに正解はありません。

・私は、TCJの学生です。/私はTCJの学生です。
・私は、TCJで1年間、ビジネス日本語の勉強をしました。/私はTCJで1年間ビジネス日本語の勉強をしました。

最後に、ライターの上司によく言われたことですが、「読者は読む人ではない。数ある文章の中から自分の文章を読んでくださる人だ。読んでくださる人のことをいつも考えること。考えれば考えるほど、丁寧で読みやすい文章に自然と近づく」。私もこの考えに大いに共感しています。ようするに【おもいやり】が大切ということだと思います。それから読者の方に感謝も。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

TCJでもっと日本語を学ぼう!

「一文は短い方がいい」「一文一義」というのは一般的な文章のことです。小論文やエッセイ、ビジネスメールなど、書き方が異なります。自分に必要なライティングスキルを伸ばしたい!もっと実践的な書く練習をしたい!と思っている方は、TCJで学びましょう。

 

参考文献

アカデミック・ジャパニーズ研究会編著(2020)『改訂版 大学・大学院 留学生の日本語 2作文編』

 

この記事の筆者
日本語教師
PaivaAyaka
日本語教師/Webライター/翻訳家。大学卒業後、求人広告や商品広告のコピーライターを経験。2010年からブラジルの国外就労者情報援護センター(CIATE)で、日本へ就労希望のブラジル人に日本語指導を行う。同時期にサンパウロ新聞社で翻訳記者としても働く。日本帰国後、TCJの養成講座を修了し、日本語学校で経験を積む。現在はTCJでプライベートレッスンを担当しているほか、都立高校の外国につながる生徒や技能実習生に教えている。

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